ウェルビーイング思考

副腎疲労症候群からの回復と善き日常を目指す記録

闘病から丸2年…副腎疲労症候群はどの程度良くなったかー完治は?

いろいろあって長らく更新できていませんでしたが、久しぶりに投稿します。この8月で、副腎疲労症候群でダウンしてからちょうど2年になりました。

今回の記事では、2年間治療に取り組んできてどの程度良くなったのか?について書きたいと思います。

その後の環境変化

  • 一向に出勤ができる体調に戻らず休職が続いていたので、在宅勤務の仕事に移った→今のところ在宅なら何とか働けている
  • 川本療法を始めた→現時点で8カ月目くらい。川本療法を始めてからかなり症状改善しました。

2018年8月時点の体調の詳細:「改善はしているが、残念ながら完治せず」

「副腎疲労症候群の自覚症状とは?」に書いた自覚症状は、2年後の今以下のようになっています。

  • ◯:治った
  • △:治っていないが改善はしている
  • ×:まったく変わらず
  • 肩、首のコリ、腰痛(その後数年にわたり、定期的に鍼治療や整骨院、カイロプラクティックなどに通うが、まったく良くならず)

×まだあります。結構つらいです。

  • 緊張性頭痛(ドクンドクンと、脈に合わせて痛む頭痛。頭の左側)

△たまにですかね。以前よりはだいぶ頻度は減りました。

  • 便秘と下痢を繰り返す、ガスが酷く臭う(硫黄臭)などの、過敏性腸症候群的症状

△一時期はほぼ完治していて、毎朝健康的な便が出て夢のようだったのですが、2カ月くらい前から症状がぶり返しました...。最近は下痢続きです。

  • 免疫力の低下を感じ始める。風邪を引きやすくなる、風邪なのに症状が妙に悪化する(39度の熱が1週間近く続くなど)、風邪がなかなか治らない(熱が下がった後、ほぼ確実に蓄膿症になり、完治まで1〜2カ月かかる)
  • 免疫力の低下をさらに痛感する。子どもの病気をことごとくもらう(おたふく、手足口病、ノロウイルス、ロタウイルスなど、子どもがなればほぼ100%もらってダウンする。しかも症状は子どもより悪化する)

△こちらはかなり改善した印象。以前ほどは風邪を引かなくなりましたね。

  • カフェインが突然ダメになる(昼間にコーヒーを飲むと夜不眠症状に。コーヒーをやめる)

×カフェインは相変わらずダメです...調子こいて飲むと夜眠れません。

  • カフェインを抜いても不眠症状が出る(ほとんどが早期覚醒か中途覚醒。寝付けるが、夜中の1時〜4時頃に目が醒めてしまい、朝まで眠れないか、早朝に寝る)

◯こちらは朗報。不眠症状はほぼ完治しました。よく眠れています。本当に嬉しい...。ただ、よく眠れても疲労感が抜けないのは相変わらず...。

  • 動悸(断続的に)

◯これも最近気にならないので、治ったかも?

  • 体重減少(57kg程度あった体重が徐々に減っていき、最終的には49kg前後に。ロタウイルスなどの急性胃腸炎の影響もあり)

×体重はさらに減り、47kgくらいですね...川本先生曰く、体重が戻るのは最後(他の症状が良くなってから)だそうです。

  • 異常な全身倦怠感、異常な疲れやすさ(ふとんからまったく起き上がれない、トイレに起き上がるだけで精一杯、つたい歩きでないと歩けない)

△この症状に一番悩まされています…少しずつ良くなってきていたのですが、2週間前くらいに再発し、1週間程度寝たきり状態になりました...。寝たきり状態からは抜け出しましたが、まだ不穏な感じですね。

平常時も、やっぱりだるさはそれなりに残っていて、数時間の外出は週に2、3回が限度という感じです。2年前は寝たきり状態が何カ月も続いていたことを考えると、大きな進歩ではありますが…。

  • 耳鳴り(ライヴ後にキーンとなるような耳鳴りが続く。静かな場所ではかなり気になる)

×変わらずです。なるべく気にしないようにしているのでそんなに普段気になるわけではありませんが...。

  • 息苦しさ

◯ほぼ無いと思います。

  • 若干のうつ的症状(やる気が出ない、イライラするなど。ただし、本当に若干。心療内科でうつ病ではないと診断された)

△ほとんど無いですが、仕事でうまくいかなかったりすると落ち込んだりはしますね。

  • 左あばらの下の方から左脇腹にかけて、左背中の痛み(場所的には副腎や腎臓があるあたりの痛み)

×あります。まあ、副腎がまだ悪いので仕方ない感じですかね...。

  • 重度の副腎疲労(最も重いレベル)

△今年の春頃に、いつも見ていただいているフィシオエナジェティックの先生に「副腎疲労症候群のレベルを脱した」と言われましたが、仕事を再開したこともあり、また逆戻りしている感じです...。

この先生にも川本療法でも言われていますが、結局、ミトコンドリアでエネルギーをうまく作れない状態が続いているそうで、仕事などでエネルギーを多く使うと、枯渇して異常な疲労感が出てしまったりするそうです。

  • 腸内カンジダ・リーキーガット症候群(そういえば人間ドックの胃カメラの結果、食道カンジダと言われていた…)

△カンジダ菌の異常繁殖状態は脱しているはずですが、下痢症状がここ2カ月ほど続いているので、まだまだですね。

  • 遅発性フードアレルギー(私の場合、小麦、乳製品、砂糖、卵、大豆製品が×)

×目下食事制限継続中です。ただ、川本療法で「自然糖は摂った方が良い。細胞内でエネルギー代謝が起こりやすくなる」とアドバイスいただき、黒糖はすごく食べています。

→参考:副腎疲労症候群への対応:低エネルギー状態について

  • 重金属の蓄積

△サプリメントによる解毒継続中です。

  • 硫黄不耐性(食品に含まれる硫黄成分が原因で、さまざまな症状が起きる)

△最近そこまで意識はしていませんが、まだ症状は残っている印象。

まとめ

この記事では、副腎疲労症候群になって2年経ち、どの程度症状が改善したのかについて紹介しました。 完治には至らず、症状と付き合いながら日々何とか生活している感じです。

何か参考になりそうな情報があれば&気が向いたら、また何か書いてみたいと思います。

副腎疲労症候群と食事 (2) 醤油編

第1回目「副腎疲労症候群と食事 (1) 塩編」より、副腎疲労症候群の私が実際どのような食事・食材を摂っているのか、どんな点に気をつけているのかなどについて紹介するシリーズを始めましたが、今回はシリーズ第2回目として、塩と同じくらいよく使う調味料、醤油を取り上げます。

そもそも、副腎疲労症候群の場合醤油は摂って良いのか?

これはその方の体質や症状によってそれぞれですので、かかっている医師や施術家さんの見解をもとにご判断ください。私の場合は「副腎疲労症候群の自覚症状とは?」に書いたとおり、遅発性フードアレルギー反応として大豆が出て、大豆製品を摂らないようフィシオエナジェティックの施術家さんに言われました。しかし、他にも乳製品、卵、小麦がダメという結果が出た私は、さらに大豆製品がすべてダメとなると、食べるものがほとんど無くなってしまう...それに、大豆製品大好きなのに...そこで「味噌や醤油もダメですか?」と泣く泣く聞いたところ、味噌と醤油はある程度摂っても大丈夫とのことで、一安心...。毎食摂るなど、頻繁に摂りすぎないよう気をつけつつ食べています。大豆製品でも特に味噌や醤油は、日本人なら毎日のように使いますから、できれば食べたいですよね。

その代わり、味噌と醤油以外の大豆製品は極力避けています。大豆そのもの、納豆、豆乳など。

選ぶときのポイント

とにかく原材料に小麦が含まれていないものを選ぶこと。これに尽きます。副腎疲労症候群の場合、小麦を摂らないことがまず重要です。私のおすすめは以下です。

イチビキ 小麦を使わない丸大豆しょうゆ

名前のとおりの商品名です。一般的なスーパーでも売っていることが多く、手に入れやすいです。常に家に常備してあります。料理の味付けに使ったり、黒酢とアマニ油と混ぜてドレッシングを作ったりしています。

オフィシャルサイト www.ichibiki.co.jp

Amazon

傳右衛門 溜醤油

若干値がはりますが、とろみがあり、大変おいしいです。上質なお醤油だとわかるおいしさです。私は普段はイチビキさんの小麦を使わない丸大豆しょうゆ、お刺身を食べるときなどたまに贅沢したいときは傳右衛門、と使い分けています。

オフィシャルサイト http://www.kuramoto-denemon.com/

オフィシャルオンラインストア www.sonomanma.co.jp

Amazon

まとめ

今回の記事では、副腎疲労症候群の改善に役立つ、小麦を含まないお醤油について紹介しました。今後も不定期ですが、油、酢、など、食事・食材関係のトピックを紹介していく予定です。

副腎疲労症候群と漢方 - 大学病院で処方された漢方(煎じ薬)を1カ月間続けてみた結果

f:id:wbt1:20171101174749j:plain「副腎疲労症候群の私が慢性疲労症候群の専門病院を受診した結果」の最後に漢方を始めたことについて触れましたが、今回の記事では、副腎疲労症候群の私が大学病院の漢方外来へかかった結果処方された漢方やその効果について紹介します。

大学病院の漢方外来へかかったきっかけ

きっかけは、「副腎疲労症候群が再発...慢性疲労症候群の疑いも」に書いたように症状が再発してしまったことで、1年近く続けてきたフィシオエナジェティックによる食事制限・サプリメント摂取で本当に良くなるのか不安を感じたことですね。漢方という新たなアプローチを取り入れることで改善につながるかもしれないと。

ただし、漢方外来については以前「副腎疲労症候群をどこで診てもらうべきか - 病院か民間療法か」に書いたように一度失敗した経験がありました。

私の場合、一度最寄り駅近くの漢方内科に行って症状を説明し、漢方薬を出してもらったことがあります。しかし、「とりあえず元気が出る漢方出しておきます」と言われただけで、飲んでも効果も無く、残念ながら私にとっては良い病院ではありませんでした…。

その後他の漢方内科も探したのですが、良さそうだと思えるところが見つからなかったことと、フィシオエナジェティックの方で飲んでいるサプリメントと漢方の飲み合わせが良いのかどうか、漢方医も施術家も判断できないことから、漢方薬はその後飲んでいません。おそらく、併用して問題になるようなことはほとんど無いとは思うのですが、不安は残りますよね。

施術家の見解は「漢方薬の知見が無いため飲み合わせについて判断ができない。サプリメントも最近は漢方的な成分のものも多いので、サプリメントで補充する成分で十分。わざわざ漢方を併用しなくても良いのではないか」とのことでした。

そのため漢方をずっと敬遠していたのですが、きちんとしたところで診てもらって煎じ薬を出してもらって飲めば効果があるかもしれないと思い、行ってみることにしました。

病院の選び方は「副腎疲労症候群をどこで診てもらうべきか - 病院か民間療法か」に書いたことも含め、以下の基準で選びました。

  • 日本東洋医学会認定の漢方専門医が所属している(認定の漢方専門医は、日本東洋医学会ウェブサイトの「漢方専門医の検索」で見ることができます)
  • 個人開業の場合良し悪しがよくわからないので、大学病院に範囲を絞る
  • 漢方に関する評価の高そうな著書を出している先生がいる(ただし実際は、その先生は半年以上の予約待ちだったので、別の先生にした)

診てもらった結果処方されたのは「延年半夏湯」

医師に、副腎疲労症候群と言われ食事制限やサプリメント摂取を続けていることや、「副腎疲労症候群の自覚症状とは?」に書いた症状を話した後、脈診、舌診、腹診を受け、結果処方されたのは「延年半夏湯」という漢方の煎じ薬でした。

肩や脇腹の痛み、胸痛などに用いる薬で、肩こり、肋間神経痛、五十肩、胃炎、大腸炎などに応用されるとのこと。以下にも解説が載っています。

www.kotaro.co.jp

入っている生薬の内訳は以下でした(おくすりの説明書から引用)。

  • 半夏(はんげ)ー健胃鎮咳作用があり、悪心嘔吐や胃部不快感、咳や痰などに用いる
  • 桔梗(ききょう)ー咽の痛みや痰、咳、患部の炎症などに用いる
  • 紫胡(さいこ)ー免疫力を高め、胸腹部の不快感や種々の炎症、微熱などに用いる
  • 別甲(べっこう)ー血行障害による痛みなどに用いる
  • 檳榔子(びんろうじ)ー循環障害による痛みやむくみなどに用いる
  • 御種人参(おたねにんじん)ー滋養強壮作用があり、体力や免疫力の低下、食欲不振などに用いる
  • 枳実(きじつ)ー胸脇部や腹部の膨満感、痛みなどに用いる
  • 呉茱萸(ごしゆゆ)ー冷えによる嘔吐、頭痛、月経痛などに用いる
  • 生姜(しょうきょう)ー健胃作用があり、冷えによる腹部の痛みや嘔吐などに用いる

ネットで「副腎疲労 漢方」などで検索すると出てくるのは、甘草(リコリス)や蝦夷うこぎ(エゾウコギ)などですが、延年半夏湯を飲んでいるという話は見つけられませんでした。ここしばらく左肋骨の下から左脇腹にかけてと、左背中の痛みがそこそこひどくて気になっており、それを強調したことも関係しているかもしれません。

私の飲んでいるサプリメントについては、飲み合わせ「問題なし」

診察前に記入する問診票にサプリメントについて記入する欄があり、現在飲んでいるサプリメントをすべて列挙したところ、「飲み合わせに問題ない。サプリメントも飲み続けて構わない。ただ、漢方と間は30分くらい空けてね」と言われました。これまで漢方を敬遠していた理由の一つに「漢方とサプリメントの飲み合わせに問題ないのか判断できない」という点があったのですが、このように病院側からきちんと「大丈夫」と言ってもらえて本当に安心しました。それならもっと早く大学病院の漢方外来にかかればよかった...。

効果のほどはまだわからない。胃腸は調子は良くなったかも?

1カ月ちょっと続けていますが、効き目はまだよくわかりません。胃腸の調子は、上に書いた副腎疲労症候群の再発後、下痢と便秘の繰り返しがそこそこひどかったのですが、すっかり良くなりましたね。ただ、同時期にフィシオエナジェティックの施術の方で飲むように言われているサプリメントのラインナップが変わったりもしていて、どちらかと言えば漢方ではなくサプリメントのおかげな気もします...。

漢方医には2〜3週に1回程度のペースでかかっていますが、「しばらく今の薬を続けてみましょう」とのこと。結構苦めの成分が含まれているらしく「飲みにくいと思います」と医師から言われたのですが、不思議なことに苦味はほとんど気にならず「おいしい」「もっと飲みたい」と思うくらいなので、身体が欲している成分なのかもしれません。保険が効かないため出費がかなり痛いうえ、漢方薬を煎じるのも(慣れてきたとはいえ)面倒ではありますが、もうしばらく続けてみようと思います。

まとめ

今回の記事では、副腎疲労症候群の私が大学病院の漢方外来にかかった結果、延年半夏湯を処方されたこと、サプリメントとの飲み合わせに問題はないと言われたこと、はっきりとした効果はまだ感じられていないことなどについて紹介しました。副腎疲労症候群の症状は薬を飲んだらすぐ治るようなものでも手術をしてすぐ治るようなものでもなく、長い時間をかけて少しずつ少しずつ改善していくものなので、本当に良くなっているのか不安になり、別のアプローチとして漢方を試したくなる機会もあろうかと思います。今回の記事が、漢方を検討する際の参考に少しでもなれば幸いです。

漢方の効き目を実感した!など、新しい情報がありましたらまた紹介したいと思います。

副腎疲労症候群と食事 (1) 塩編

副腎疲労症候群の改善方法として広く知られているのは、食事制限や栄養療法です。どんな食事や栄養素を摂るべきかについては、副腎疲労症候群の専門病院のブログや本などで数多く紹介されています。

私は食事や栄養療法の専門家ではなく副腎疲労症候群の一患者に過ぎませんので、このブログでは食事関係のトピックをあえて取り上げてきませんでしたが、実際どのような食事・食材を摂っているのか、どんな点に気をつけているのかなどについて、もしかしたら参考になることもあるかもしれないと思い、以後シリーズ的に紹介していきたいと思います。

今回の記事では「塩」を取り上げます。

副腎疲労症候群の改善には塩(特に海塩)の摂取が不可欠

副腎疲労症候群の改善についての塩の重要性は、さまざまなところで言われています。『医者も知らないアドレナル・ファティーグ』には、塩について以下のように述べられています。

  • アジソン病患者は食生活にナトリウム(塩)を取り入れることが有効であると知られてきた。(中略)塩は血圧を上昇させるだけでなく、細胞内でのナトリウム損失に関連する他の機能回復にも役立つため、アドレナル・ファティーグにおいても積極的に食生活に取り入れよう。つまり身体が「塩が欲しい」と思えば、塩を取ればよい。
  • アドレナル・ファティーグにおいては、塩への強い欲求が起こるのは、十分なアルドステロンが不足することの直接の結果である。
  • 海塩にはナトリウムに加えて微量のミネラルも含まれているため、食卓塩よりもよい選択肢である。

「塩への強い欲求が起こる」というのは私の身体の実感としても本当にそのとおりで、どんな料理でも、ついしょっぱくなるくらい塩をかけてしまうのですよね...。

医者も知らないアドレナル・ファティーグ―疲労ストレスは撃退できる!

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  • 作者: ジェームズ・L.ウィルソン,本間龍介,James L. Wilson,本間良子
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塩を選ぶときのポイント

塩を選ぶときのポイントは、原材料名が「海水」のみのものを選ぶことです。以下、私が日々摂っているオススメの塩です。参考までに。

南の極み

オーストラリア産の海塩です。おいしいですし、価格もリーズナブルで、一般的なスーパーでも置いてあることが多いです。オリーブオイルやごま油と混ぜたり、ドレッシングに使ったり、大活躍です。

Amazon

南の極み 天日塩 500g

南の極み 天日塩 500g

オフィシャルサイト www.nbkk.co.jp

雪塩

宮古島の海水を使った海塩です。サラサラで粉末状なのが特徴。おかずにちょっと塩を加えたいときなどにサッと振りかけられるのが良いです。味もおいしい。一般的なスーパーでは置いてあったりなかったりします。成城石井などでは置いてあることが多い印象があります。

Amazon

宮古島雪塩 クッキングボトル 50g

宮古島雪塩 クッキングボトル 50g

オフィシャルサイト www.yukisio.com

まとめ

今回の記事では、副腎疲労症候群の改善に必要な海塩について紹介しました。さまざまな海塩を試してみて、ご自分のお気に入りの海塩をぜひ見つけてみてください。お気に入りが複数あると、使う塩をそのときの気分で変えられるのも心地よいものです。

今後も不定期ですが、油、リンゴ酢、醤油などなど、食事・食材関係のトピックを紹介していく予定です。

うつ病を体から治すアプローチは副腎疲労症候群にも有効かもしれない

今回の記事では、最近読んだ『うつは「体」から治せる!』(BABジャパン)という本がなかなか興味深く、副腎疲労症候群の改善にも役立ちそうだったため、特に印象に残った内容や関係しそうなトピックについて取り上げます。心身を統合的に捉え、身体的アプローチである整体のみならず、トラウマ療法やソマティック心理学などを含めた幅広い知見から書かれており、一読の価値アリです。

読んで分かる! 感じて納得! 【うつは体から治せる! 】

読んで分かる! 感じて納得! 【うつは体から治せる! 】

この本は、うつ・自律神経失調症専門の整体である健療院グループの総院長の方が書かれた本です。健療院グループのサイトについては以前「副腎疲労症候群を知るためのウェブサイト、本のまとめ」でも取り上げましたが、多くの情報を発信されており大変役立ちます。

www.kenryouin-group.com

1. うつになる体の特徴

うつになる体の特徴として以下の三つがあげられています。

  1. 筋肉の緊張ー怒りなどの感情を抑えることによる緊張と、ストレス=生命の危機と感じることによる自律神経的な緊張の二つの原因がある
  2. 頭蓋骨のゆがみー頭蓋骨がゆがんでいるため脳脊髄液がうまく循環しなくなり、脳の機能が低下しうつになりやすくなる
  3. 背骨・骨盤のゆがみー骨盤や背骨がゆがむと、それに対応するように頭蓋骨までゆがむ

どれも副腎疲労症候群の専門病院などではほとんど触れられない内容です。食事制限やサプリメント摂取ではなかなか症状が改善しないのは、こういった体へのアプローチが不足しているからかもしれません。

さらに、この三つの特徴が生まれる背景には、エネルギーの循環の不備である「エネルギーの生産不足」、「エネルギーの循環の不足」、「エネルギーを使うことの不足」の三つがあるといいます。それぞれ以下のように書かれています。

エネルギーの生産不足

うつの方は栄養素の不足・呼吸の不足・自律神経の乱れなどでエネルギーの生産が低下しています。

副腎疲労症候群の場合、このうち「栄養素の不足」には、食事制限や栄養療法、サプリメント摂取などによって改善策を取ることが多いですし、リーキーガット症候群やカンジダ菌は、この栄養素の不足を引き起こす要因の一つと考えられます。しかし「呼吸の不足」、「自律神経」へのアプローチはいかがでしょうか。ほとんどなされていないのではないでしょうか。

エネルギーの循環の不足

小さな細胞にもエネルギーが循環しなければその細胞は働けなくなってしまうのです。するとその影響は体全体へと広がります。うつとはこの状態がひどくなった状態ともいえます。

これについては、細胞膜やミトコンドリアに働きかけるようなサプリメントを飲んでいる方もいらっしゃるのではないかと思います(私もフィシオエナジェティックの施術家さんのアドバイスに従って飲んでいます)。

エネルギーを使うことの不足

体を動かさないということはエネルギーを使っていないということであり、エネルギーが生産されなくなります。その結果、エネルギー不足になりやすくなります。 酷いうつの場合は最初は休む必要がありますが、休んでいるだけではなかなか治りきらないのです。そのため、徐々に体を動かすことがうつを改善させる秘訣なのです。

「エネルギーを使うことの不足」については、きちんと認識しておかなければならないなと思いました。副腎疲労症候群の場合、激しい疲労感・倦怠感から体を動かすことが難しい場合もあると思います。実際私も、体が動かずにほぼ寝たきりで過ごす週などもしばしばです...。しかし、体調が悪くないなというときは、エネルギーを回復させるために、若干の筋トレや散歩など本当に少しで良いので、無理のない運動はしていく必要がありそうです。

2. 感情の抑圧がうつにつながる

この本で強調されているのが、感情を抑圧することがうつにつながるということです。同様の話は、以前「副腎疲労症候群とトラウマ - 辛い身体症状の原因は抑圧された感情だった?」でも取り上げました。以下、感情の抑圧について印象深かった部分を引用します。

  • 精神的ストレスがあるからうつになるのではなく、ストレスを受けた時に感情を我慢して外に出さないのでうつになる
  • 動物的な働きである感情を抑え込むと、動物的な働きをコントロールする能力も抑え込まれてしまいます。
  • 感情は必要だから湧いてきており、全てあなたにとってプラスのものです。怒りも悲しみもあなたに必要だから起きている
  • 感情が湧いてくる心に問題があるのではありません。感情を出す状況と、出さない状況の選択ができていないことが問題
  • (感情を)使わない場合、筋肉を動かさずに硬く緊張させ続けます。(中略)感情エネルギーが体の中に溜まりすぎると、外に出ようとしていろいろな症状となって現れてきます。
  • 感情を適切に表現できないということは自分自身を守らず自分を粗末にする行為であり、自然と自己尊重感が持てなくなってしまう
  • 感情は生きるためのエネルギー(中略)感情は自律神経を動かすのに必要なエネルギー
  • 交感神経の働きが必要な時には怒り・歓喜・やる気などの感情が湧き、副交感神経の働きが必要な時には悲しみ・落ち込み・安らぎなどの感情が湧いてくる(中略)怒りを十分に表現すればやる気も出てくるし、悲しみを十分に表現すれば安心してリラックスできるようになる
  • 交感神経と副交感神経の両方の働きが悪い方もいます。そのような方は、「怒っちゃいけない」「泣いてはいけない」「感情を出してはいけない」と、怒りも悲しみも日頃から強く抑え込んでいるのです。すると交感神経も副交感神経も働けなくなります。これでは生きるエネルギーが少なくなって当然であり、うつになっても何ら不思議ではありません。
  • ストレスをたくさん感じていると、コルチゾールがたくさん出るため体の中にコルチゾールが溜まります。コルチゾールが体内に溜まりすぎると、自律神経に負担をかけうつになりやすくなります。
  • 体内のコルチゾールは、涙を流すことで体の外に排出できるのです。泣くとすっきりするのは感情を解放したこともありますが、体からコルチゾールが抜けているからという生理的な理由もあるのです。悲しみの感情エネルギーは、泣くことで解放できるとともに、副交感神経を鍛えることができます。
  • むしろうれし泣きの方が悲しくて泣くよりも副交感神経を働かすのには効果的(中略)人情物やハッピーエンドで終わるような人と人との結びつきが描かれている映画やドラマを観て、涙を流すというのはコルチゾールを体外へ排出できますし、無意識に人とのつながりを体で感じることになり、今よりも副交感神経を鍛えることができるのです。

最後のコルチゾールに関する記述などは、副腎疲労症候群で悩んでいる方には特に興味深いかもしれません。コルチゾールが枯渇するといった記述はありませんが、涙を流すことで体内に溜まったコルチゾールを排出できるというのは副腎疲労症候群の改善策の一つとして試してみる価値はありそうです。『医者も知らないアドレナル・ファティーグ』では笑いを生活に取り入れることが挙げられていましたが、泣くことについては取り上げられていませんでした。

医者も知らないアドレナル・ファティーグ―疲労ストレスは撃退できる!

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  • 作者: ジェームズ・L.ウィルソン,本間龍介,James L. Wilson,本間良子
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また、これら感情の抑圧の話の前提として「人は人である以前に動物であり、人間脳よりも動物脳が優先される。理性よりも生命維持が、心よりも体が優先される」ということが述べられている点も重要です。

  • 体調が悪くなることでネガティブになるというのは、"野生動物として身に付けていなければならない能力"
  • うつは生きるためのエネルギーを残しておくため、これ以上頭や体を働かさないように、だるくさせてやる気をなくさせているのです。ですからうつは命のリミッターであり、うつにならなかったらエネルギーが枯れてしまい死んでしまうのです。
  • どんな感情でもマイナスなものはなく、生命という観点からいえば怒りも悲しみも生き残るためのプラスの感情なのです。

副腎疲労症候群も、生きるためのエネルギーを残しておくための、生命としての自然な反応なのかもしれません。この動物脳に注目するアプローチは、トラウマ療法の一つであるソマティック・エクスペリエンスに通じるものがあります。この本ではまた「同じストレスを受けてもうつになる人とならない人の違い」を、ソマティック・エクスペリエンスでもよく取り上げられる、スティーブン・ボージェスの多重迷走神経理論を用いて説明している点も興味深いです。

心と身体をつなぐトラウマ・セラピー

心と身体をつなぐトラウマ・セラピー

身体に閉じ込められたトラウマ:ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケア

身体に閉じ込められたトラウマ:ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケア

3. 体からうつを改善させる対処法

対処法については、自分でできる呼吸法、整体法、溜まった感情を出す方法などさまざまなエクササイズが紹介されていますので、詳しくは本書を見ていただくのが良いと思いますが、以下いくつか印象に残ったものを紹介します。

姿勢が大事

  • 姿勢が悪くなると重心が狂うため、体の感覚が狂ってしまい、「感覚異常」が起こります。
  • 姿勢が悪いことで脳からの指令も体の各部に届きにくくなり、体が思うように動かなくなります。
  • うつを改善させるには感覚を正常にする必要があり、そのためには正しい姿勢である必要がある
  • (感覚が正常でないと)自分が何のために生きているのか、本当は自分が何をしたいのか、など、人生において重要なことがわからなくなったりするのです。これらも精神的なストレスにつながってくるのです。

体の姿勢を変えるだけで気分が変わる、といった話はNLPセラピーなどでも取り上げられる話ですが、やはり心と体は分けられるものではなく、体から心が変わることもあるという点はきちんと認識しておきたいところですね。

うつになりやすい「上気」という状態を改善する

上気とは、特に頭や顔など体の上の方に気(エネルギー)が上がったままになり、下半身に下がって来ないことをいい、原因としては呼吸、思考、意識の三つがあるとのことです。

  • 血液やリンパ液、脳脊髄液などの流れが悪くなり、体の上の方(特に顔や頭)に溜まっている状態です。また、意識も体の上の方にある状態です。
  • 体を動かしたり感じたりするよりも頭で考えることが多いと上気になり、うつになりやすくなります。
  • 考えすぎて頭ばかりを使ってしまう方は、体を動かすことが必要(中略)ほんの少しの動きでもいいので体を動かすことをお勧めします。
  • ストレスは「生命の危機」なので、交感神経が働きますが、一番大切な脳を守ろうとし、意識は上(頭周辺)に行きます。つまり、意識が体の上の方にある時は自然と交感神経が働きやすい状態になり、ストレスがなくても脳はストレスがあると勘違いしてしまう
  • 意識が下にあることで副交感神経が働きやすくなり、心も体も回復しやすくなる状態になる(中略)まずは下半身を意識することです。例えば、自分の足の感覚を意識して感じるようにしてみて下さい。

これを読んでなるほど、と思いました。私は副腎疲労症候群でダウンする前、常に上気の状態だったように思います。頭で常に仕事のことや将来のことを考えていたり、ほとんど運動もしていなかったり...。副腎疲労症候群で悩まれている方、心当たりありませんでしょうか。

「下半身を意識する」という点は、「副腎疲労症候群と休職 - 休職の手続きや休職中の過ごし方など」でも取り上げた、流行りのマインドフルネス瞑想や歩行瞑想などが有用のように思います。

「トキシン」を摂らないようにする

私はこの本で初めて「トキシン」という言葉を知ったのですが、うつになる可能性が高くなる「毒素」のことだそうです。副腎疲労症候群との関係で捉えると興味深いです。

  • アレルギー物質ほど体に症状を出さないので非常に分かりにくい
  • うつを改善させたい方にはトキシンを体に取り入れないようにする必要があります
  • 多くの方にとってトキシンになりえる代表的なものはカフェイン・砂糖・小麦・ニコチン
  • トキシンの特徴として「摂らなくなると、摂りたいと思わなくなる」というものがあります

他にはレタス、ラベンダーオイル、洗濯洗剤などがトキシンとなっていた例もあるとのこと。副腎疲労症候群の検査で行われる遅発性フードアレルギーや重金属などは、まさにここでいうトキシンのことですね。

自分でできる、心拍数を用いたトキシンのチェック方法も紹介されていますので、ご興味のある方は本書をご覧いただくと良いと思います。

まとめ

今回の記事では、うつ病を体から治すアプローチを取り上げ、副腎疲労症候群との関係の中で見てきました。認識しておかなければならないのは、心と体は分けられないということでしょうか。うつ病も副腎疲労症候群も、一点からのアプローチでは改善するものではなく、心、体(体と言っても脳、神経、皮膚、骨格、筋肉、呼吸、臓器などあらゆる方面から)統合的にアプローチしていくほか無いということなのでしょうね。「薬でうつ病が治らない」とか「栄養療法で副腎疲労症候群が良くならない」という声をよく目にしますが、それは一方向からのアプローチではなく、全体から「ホリスティックに」見る必要があるということなのでしょうね。ただ、すべてを見てくれる病院や施術家はいないので、やはり自分自身が主治医になっていろいろ試していくしかない、ということに結局はなってしまうのでしょうね。

これを機に、自律神経整体などを検討される方は、私の体験談「自律神経整体は副腎疲労症候群に効果があるのか?ないのか?」もあわせてご参照いただくと良いと思います。

副腎疲労症候群の私が慢性疲労症候群の専門病院を受診した結果

「副腎疲労症候群が再発...慢性疲労症候群の疑いも」で慢性疲労症候群の疑いを持っていると書きましたが、先日ようやく、思うように動かない身体を引きずって、関西圏にある某慢性疲労症候群の専門病院を受診してきました。今回の記事では、受診の流れや診断結果、受診するに当たっての注意点について書きたいと思います。

受診の流れ

病院に到着後まず問診票を記入し、次に臨床心理士による面談がありました。30分程度でしょうか、症状の詳細や、これまでにかかった病院や代替医療機関での治療の内容、症状の経過などについてかなり詳しく聞かれました。副腎疲労症候群と言われていること、サプリメントや食事制限で改善に取り組んできたことなどについても率直に話しました。面談の最後に血圧を測り、再び待合室へ。待合室では、心理検査と疲労の検査と思われる質問事項に回答することを求められました。そして最後に、医師による問診です。

かなり詳しく聞かれることになるので、自身の症状やその経過、これまで取り組んだ治療方法とその効果などをまとめたドキュメントを持参することをおすすめします。このドキュメントがあると、診察が非常にスムーズに進みます。

診断結果:うつ病と発達障害(アスペルガー)の合併型と言われた

私の症状は「副腎疲労症候群の自覚症状とは?」に書いたとおりですが、医師に言われた内容は以下でした。

  • 要はうつ病である。若干のアスペルガー傾向があるため、うつ病の精神症状を認識できず、身体症状ばかりが気になってしまうのだろう。心療内科で身体症状ばかりを訴えれば、身体表現性障害と誤診されることはある
  • 慢性疲労症候群と一言で言っても、うつ病型など、さまざまなパターンがある。あなたの病状の経過を見る限り、うつ病とアスペルガーの合併型と考えてほぼ間違いないだろう(比較的よくあるパターンらしい)
  • うつ病なので、抗うつ薬を飲めば良くなる。セロトニンが不足しているから薬で増やすべき。今なら飲めば治る。時間が経ってしまうと病気と一生付き合わなければならなくなる
  • 抗うつ薬を飲むと、腸の調子が悪くなるなどの副作用があると言われているが、これは薬がきちんと効いている証拠。セロトニンが腸にたくさんあるため、腸の調子が悪くなることが多い
  • 抗うつ薬に依存性はまったくない。世間ではいろいろ言われているようだが、飲んでも何の問題もない
  • 自宅から通えるところで、発達障害とうつ病の両方を見られる医者にかかることを勧める

この診断結果にはとても驚きました...。「アスペルガー傾向」というのは生まれて初めて言われましたが、その診断が、「音や匂いに敏感だったりしませんか?」といった質問に「言われてみるとそういうことはあるかも。時計の秒針の音が気になって眠れないことがたまにあったり...」などと答えただけでそのように診断されてしまったことに大変戸惑いました。身近な人に言ったら「絶対違う」と言われましたが...。

この程度の質問だけで「アスペルガー傾向です」と言われてしまうのであれば、「生まれつき副腎疲労症候群になりやすい体質がある?神経が高ぶりやすいHSPとは」で取り上げたHSPの人などは、もれなく発達障害と病名をつけられてしまいそうです...。

アスペルガーについては以下の記事に情報がまとまっています。 h-navi.jp

その他、私がいつも参考にしている「いつも空が見えるから」には、小児慢性疲労症候群と発達障害の関係についての記事がありました。 susumu-akashi.com

また、抗うつ薬の副作用や依存性について「まったくない」というようなことをあっさりと言われたことについても不信感を持ちました。抗うつ薬、特にSSRIの依存性についてはさまざまなところで言われていることも事実で、「まったくない」と言うのではなく、もう少し詳しい説明をしていただきたかったところです。

SSRIの依存性については、以下の記事などで取り上げられています。 dot.asahi.com

wedge.ismedia.jp

「副腎疲労症候群の自覚症状とは?」に書いたとおり、私は実際抗うつ薬が効かなかったですし、脳内のセロトニンを増やすために薬を飲みましょうと言われても、脳内のセロトニンを計測したわけではないので、本当にセロトニンが減っているかどうかはわかりません。

仮にセロトニンが減っているとしても「なぜセロトニンが減ってしまったのか」を考えると、投薬治療は暫定対処にすぎないように思えてしまいます。そしておそらく、(医学的にはまだ広く認められていないものの)その背後には副腎の機能低下や、栄養をきちんと吸収できずにセロトニンを生成できなくなってしまった腸内環境などが関わっているように思えます。

注意点:詳細な検査は診断の補足にすぎない

医師によれば、

  • 慢性疲労に関する詳細な検査は、あくまで診断の補足にすぎない
  • 慢性疲労症候群の診断は問診で下すものである

とのことでした。

私は、慢性疲労症候群に関する専門的な知見を基に、唾液や血液などの詳細な検査による数値的エビデンスに基づき、慢性疲労症候群かどうかを診断してくれると思っていたのですが、そうではないそうです。事前に病院に電話して、どのような検査をしてもらえるのかを確かめていましたし、「慢性疲労症候群かどうかはおおむね当日の検査と問診でわかる」と言われていましたので、期待してわざわざ遠方から受診しに行ったのですが...残念ながら期待外れでした。

慢性疲労症候群かどうかきちんと診断してもらいたい方は、この点を把握したうえで受診を検討されることをおすすめします。

まとめ

今回の記事では、副腎疲労症候群である私が慢性疲労症候群の専門病院を受診した際の、受診の流れ、受診結果、受診にあたっての注意点について取り上げました。医師による診断結果は真摯に受け止めなければならないなと思いつつ、それでも自身の考えを貫き通したいという思いもあり、非常に悩むところではありますが、やはり私は精神的には比較的元気なので(身体が言うことを聞かないことで精神的に落ちることはありますが...)、引き続き抗うつ薬に頼らずに治していく方向を模索していきたいと思います。

そこで、最近始めたのが漢方です。漢方については別のエントリーで紹介するつもりです。

生まれつき副腎疲労症候群になりやすい体質がある?神経が高ぶりやすいHSPとは

今回の記事では、副腎疲労症候群になりやすい体質として、生まれつき神経が高ぶりやすい「敏感すぎる人(HSP)」というものが関係しているのではないか、ということについて考えてみます。

敏感すぎる人「HSP」とは?

敏感すぎる人(HSP : Highly Sensitive Person)とは、生まれつき神経が高ぶりすぎる傾向を持って生まれた人のことです。これは遺伝的なもので、目の色や肌の色が異なるのと同じレベルの話とのこと。心理学者のエレイン・アーロン氏による以下の本で詳しく解説されています。

ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)

ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)

この本に挙げられているHSPの特徴をいくつか抜粋します。

  • 他人の気分に左右される
  • 痛みにとても敏感である
  • カフェインに敏感に反応する
  • 美術や音楽に深く心動かされる
  • あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり神経が高ぶる
  • 仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
  • まわりの人の気分や感情に大きく左右される
  • 空気中の物質に敏感である。花粉症やじんましんなどにかかりやすい人が多い
  • じっとしているのが得意だ
  • 人に頼み事をするのが苦手
  • 自分に自信がない
  • 心配性
  • 完璧主義
  • 自尊心が低い

私はほとんど当てはまります…ほぼ間違いなくHSPですね。

HSPと副腎疲労症候群の関係

個人的に、HSPは、副腎疲労症候群と何らか関係しているのではいかと考えています。生まれつき神経が高ぶりやすいということは、生まれつき視床下部ー下垂体ー副腎が働きやすいため、コルチゾールが人よりも多く分泌されることが多く、結果的に副腎疲労症候群になりやすいのではないか、と。上記の本にも、副腎疲労症候群を匂わせるような内容が出てきます。

  • ある研究によれば、生まれつき敏感な子どもたちを調査した研究では、乳幼児期に不眠、腹痛、便秘が多かった。心拍数ももともと早く、普通の子どもよりコルチゾールを多く含んでいた。1年後追跡調査をしたところ、新しい状況に対して高いレベルの恐怖を示す確率が高かった。

さらに、生まれつき神経が高ぶりやすいうえに安心できない環境で育った場合はますますこの傾向が出やすく、心身の不調につながることがあるようです。以前「副腎疲労症候群とトラウマ - 辛い身体症状の原因は抑圧された感情だった?」で取り上げたような内容に近いものです。幼少期の愛着障害やトラウマがさらに悪影響を与えるということですね。

  • 子どもが母親に、安心できる庇護を感じている場合、ストレスに対して長期的なコルチゾール反応は見られない。一方、安心できる庇護を感じていない場合は、長期的な神経の高ぶりを起こす→こうしたケースの母親は、過保護か、ほったらかしだったりした
  • 環境があまり健全でないと、子供はとりあえず生き延びるために、養育者に適応しようと必死になるので、ある種の気質は水面下に潜ってしまう。そうやって隠れてしまった気質は、大人になってから、ストレス関係の身体的症状などのかたちをとって再び現れる。
  • いったん不健全なアタッチメントを身につけてしまうと、心理療法の中で安心できるアタッチメントを抱くことを覚えないかぎり、一生そのまま変わらない
  • 安心感のなんたるかを知らぬままに外の世界へ出ると、あなたは自分を不安にさせるタイプの人ばかり選び出して人間関係を結んでしまうので、結局安心感は得られないままに終わってしまう
  • 子どもの頃に、周りの人が、やめてと頼むとやめてくれる、神経が高ぶったときに助けてくれる人だったなら、信頼を得られ、恐怖をコントロールできるようになる。この信頼を小さいときに得られなかった場合は、成長してから慢性的に不安感を持ったり、社会を避けたり、自分が本当にしたいこと、したくないことがなかなかわからなくて悩むなどするようになる。これは生まれつきではなく、学習したもの
  • 問題を引き起こすのは、遺伝的な資質ではなくて、慢性的な神経の高ぶりすぎや子ども時代のトラウマ→慢性的な神経の高ぶりすぎはコルチゾールを増加させ、最終的にはセロトニンを減少させる

いかがでしょうか。心当たりはありませんか?(私は大いに当てはまります…)

同様の話は、スーザン・ケイン氏による『内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える』にも載っています。

  • 生まれつき扁桃体が興奮しやすい乳児は外界からの刺激に対して大きく反応し、成長すると、初対面の人間に対して用心深く接するようになる
  • 高反応の人はアレルギーや花粉症と関連している
  • 高反応の子どもはランの花のように周囲の影響を受けやすい→両親の不和や虐待などに非常に脆弱で、うつや不安、社会不安障害に襲われやすい
  • 内向型なのに、十分な回復のための場所なしに、長期間にわたって自分の性格に反して行動すると、自律神経系の活動を亢進させ、結果として免疫機能の働きを弱めることになる

HSPや内向型人間だとして、じゃあどうすればいいのか?

まず大前提として、HSPや内向型人間には優れている点がたくさんあるということを忘れてはならないということです。上記の2冊によれば、HSPや内向型人間には以下のような優れた点がたくさんあると述べられています。

  • 直感に優れ、たくさんのアイデアを思いつく
  • 物事を深くよく考えるため、他人が気づかない問題点に気がつく
  • 芸術や音楽の方面で才能を発揮することが多い
  • もっとも成功している経営者や営業職には内向型人間が多い

また、現代社会は非HSPや外交型人間が賞賛されすぎていると警笛を鳴らしています。進化論的な見地から考えても、生まれつきHSPや内向型人間のような人が今も一定数いるということは、進化的に必要だから淘汰されずに残っているのだと主張されています。まずはHSPや内向型人間である自分をしっかり受け容れることが重要です。

そのうえで、幼少期の家庭環境に問題があったなどの理由で副腎疲労症候群のような心身の不調に悩まされている場合は、これまでに潜在意識に植え付けられてしまったトラウマや、思考・行動パターンを少しずつ改善していく必要があるでしょう。『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』にも以下のように述べられています。

もし子ども時代に、世の中はすべて恐ろしい、とプログラミングされていたのなら、何年かかろうともセラピーなどの内的な仕事を通じて、このプログラミングを変えなければならない

また、この本では、向精神薬抗不安薬などにHSPがどう向き合うべきかについて「第九章 医者と薬とHSP」に一章分割いて解説されています。副腎疲労症候群の場合、こういった薬を飲むべきか悩むことも多いと思いますので、一読されることをおすすめします。

まとめ

今回の記事では、生まれつき神経が高ぶりすぎる傾向を持って生まれた人であるHSPと、副腎疲労症候群の関係について取り上げました。副腎疲労症候群で悩んでいると、つい「なぜ自分はこんな症状になってしまったのだろう」と悔やんだり、「つい自分を責めてしまったり、人の顔色がものすごく気になってしまうのはどうしてなんだろう、どうしたらこのクセが治るのだろう」と考えてしまったりすることがあるのではないかと思います。しかし、この傾向が「生まれつきのものである」としたら、どうでしょうか。ほんの少し、気が楽になりませんか?

そしてこの傾向は、良い方向に活かすことができます。進化の観点から、人類にとって必要な傾向なのですから。良い方向に活かせるようになるためには、心理セラピーの力を借りる必要があるかもしれません。副腎疲労症候群への心からのアプローチを考える際に、HSPや内向型人間という傾向について知っておくことは、きっと役に立つのではないかと思います。

また、学術的な面でも、副腎疲労症候群のような症状とHSPの関係が証明されるような研究結果が出てくると良いなと思います。